メッセージ

私は今、完全有機栽培(無農薬・無化学肥料)で、お茶の栽培・製造・販売をさせて頂いております。
現在の農業界では、化学肥料、農薬使用による栽培方法が大部分を占めております。
では、何故、無農薬・無化学肥料という栽培方法を取っているのでしょうか。
一人の人間が生きるには、どれだけの物が介在しているのでしょうか?まず生きてゆくのには食べ物が必要です。そして衣類・住宅等・・・。ただ一人の人間が生きてゆくだけでとても沢山の物との関わりを持たなければなりません。 ではその物の存在、維持というものはどのように行われているのでしょうか。
今、この地球上にはとても多くの生物(植物・動物・人間も含む)が生存しています。
そんな中、たとえば、植物・動物の関係。植物は動物の呼吸により出された二酸化炭素を吸収して生命を維持しております。又、動物は植物の出した酸素により呼吸し、生きております。

現実的には、地上にあるものすべて一つ一つが自然の仕組みの中では掛け替えのない役割を担っているのではないのでしょうか。確かに農薬・化学肥料はある面から見ればとても妥当な方法だと思われます。しかし、生命の次元で観た場合には大きな輪としてつながっているそれぞれの命の流れを途中で絶ち切る事になるのです。
そしてそれがどのような結果を産み出すのでしょうか?
人間は自分の体の調子が悪くなれば、自分で悪い条件を取り除き、健康な体に戻そうと努力します。
でも、地球上でそのような事ができるのは人間だけなのです。
山の木々が健康を害するような環境になってきたから、もっと条件の良い場所に移ろうと思っても、決して出来る訳ではありません。人間以外の生物の生存は、ある意味で総て人間に委ねられているのです。同じ地球を構成する生きものなのに、
「何をしてもかまわない」
正しさの基準を人間中心に定めて良いものなのでしょうか?

忘れている生命の一体感
ある本に、次のような話が載っていました。
わたしは沖縄の先島と呼ばれる離島で、しばらく生活していて島の人たちが持っている自然観というものを学びました。これは、もしかしたら、今日の社会のひずみを正すカギになるのではないかと思える自然観です。それはひと言でいうと、生命の一体感ということです。
生命というのはバラバラに成立しているものではなくて一体のものとしてあるのだという考え方です。
ある時、わたしはフィリピンの、ミンドロ島付近に散在している島へ行きました。文明といえば、携帯ラジオがあるくらいで、むろん電気もないところです。わたしたちが行くと、日本人はエビやカニが好きだということを知っていて、海に潜ってイシガニというのをとってきてくれた。それから、ボイルするために台所へ行ったのですが、すぐに帰ってきて「たいへん申しわけないが、今晩はカニをごちそうできない。このカニは、今抱卵しているので海に帰してやると言う。
それを聞いたとき、わたしたちはまともに顔を上げることができなかった。わたしたちは、こういう人たちが暮らす海に、近代的な装備の船団を送り込んで、魚やカニをねこそぎとってしまう。わたし自身が漁をするわけではないが、日本人の一人として平気でエビやカニを食べている――そう思うと、恥ずかしくてとても顔を上げられなかったのです。
同時に教育にかかわってきた人間の一人として、いったい教育とはなんだろうと思わず考え込んでしまった。日本人といえば世界でも一、二を争うほどの教育を受けてきた民族だろうと思う。一方、イシガニを海へ帰してやった人は、おそらくわたしたちがいうところの義務教育すら受けていないと思われる人たちです。ところがその彼らは、生命はかけがえのないものだというきわめてあたりまえの思想のなかで生きている。生命の一体感ということを非常にたいせつにしている。
一方、文明の恩恵を受け、教育も十分にいき届いているはずのわたしたちのなかには、そうした考えがまったくといっていいほどない。わたしは、非常に暗い気持ちになりました。(家の光1998年12月号より)
視点をずらして観ることで、いままで観えなかったものが観えてくる。本当に大切だったものはなんだったのでしょうか?
今、私達に求められているものは、命の次元で物事を観てゆくことなのではないでしょうか。そして、生あるもの総ては、単独で生存出来ているのでは無く、みな一つの輪としてつながっていることを思いだし、今まで、私達人間が断ち切って来た輪を、元の状態に戻すことが、なによりも大切なことではないのでしょうか?

向島園はお茶を通してこんなメッセージを伝えていきたいと思っています。

メッセージ
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